9月になってから、3つほど講演を聞く機会がありました。いずれも面白い内容だったので、自分の備忘メモを兼ねてご紹介します。

・その1:茂木健一郎

今をときめく脳科学研究の第一人者がこの人、茂木健一郎さんです。しばらく前から、NHKの「プロフェッショナル~仕事の流儀」でキャスターを務めているので、ご存知の方も多いと思います。

私もこの番組で当人を知って、書店で著作を立ち読みしてみたのですが、かなり高度な内容で参りました。講演のほうも同じぐらい難しかったらどうしようと心配したのですが、もちろんそんなことはなくて、平易にしてメリハリがあり、時にユーモラスな語りは聞いていて飽きることがなく、約1時間があっという間でした。

主として「イノベーション」をテーマにした講演だったのですが、以下、印象的だったフレーズを記してみます。

「創造性(イノベーション)とは、記憶のシステムの一部であり、体験と意欲によって生み出されるものである」

「イノベーションを起こすには、持続可能なプラットフォームの上で多様性(ダイバーシティ)を育むこと」

これだけ読んでもなんだか難解な感じですが、実際にはこれらのキーフレーズが、わかりやすいエピソードを交えて説明されていたので、まさしく名講義を聴講している気分でした。これを機会に、彼の著作に改めてチャレンジしてみようと思いました。

・その2:秋山咲恵(サキ・コーポレーション社長)

こちらは敏腕女性経営者として名高い方で、上記「プロフェッショナル~仕事の流儀」にもゲストとして出演経験があります。その回は私も見ましたが、とにかく「切れる」印象の方だったので、どんな話が聞けるか楽しみでした。

結論から言うと、要するに彼女の会社の成功体験が説明されただけで、講演自体はそれほど面白くありませんでした。ただ、その落ち着いた話し方はやはり印象的で、知性と決断力に富んだ方なんだろうということは、良く伝わってきました。一緒に働く社員は大変だろうなぁ、とふと思ったり(笑)

言っていたことは、つまりは「経営とはいかにしてグランドデザインを描き、それを実行するかである」ということで、当たり前といえば当たり前ながら、これができないから皆苦労するわけです。その意味で、自らを広告塔にしつつも、しっかりと自社製品をグローバルに展開する実行力は、認めないわけにはいかないと思わされました。

ちなみに秋山さんも茂木さんも、私と同年代だそうです。うーん…(と、じっと手を見る)

・その3:Eさん

この方には、あるところからご縁を戴いて、しばらく前からいろいろと経営面でアドバイスを戴いています。(ご本人と関係者の方々に許可を戴いていないので、イニシャルで表記いたします)

大手電機メーカーの重役を歴任された方なのですが、元々は設計者だったいうことでしたので、今回特別にお願いして、当社にて技術部門の社員を対象に、講演をして戴きました。

およそ1時間の講演でしたが、あらかじめ詳細なレジュメを準備されたうえ、内容も当社の業務内容とレベルを踏まえたものを考えて戴く等、私としてはまさに感激でした。もちろん講演内容はとても興味深く、技術者でない私が聞いていても、思わず深くうなずいてしまうようなお話しでした。また、内容そのものもさることながら、時折引用される言葉の出典が東西の古典や思想書であったりと、その幅広く奥深い教養にも、改めて感じ入った次第です。

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短い期間に、いろいろと参考になる講演を続けて聞くことができて、とても勉強になりました。もちろん、勉強だけで実践が伴わなければ意味がないので、まずはとにかく、できることから一つずつとりかかろうと思っています。